64:女子寮

mimic-yk2007-12-13

 3月?
 女子寮に入っているMはベッドに寝転び肘枕をつく。
 静まり返った部屋で水分が凝結しつつある音(雨の音)を聞こうとしている。
 灰色のトーンを帯びた窓からの景色や、並木をざわつかせるゴー…という突風。
 暗雲が立ち込めた空に、半透明のレジ袋が舞い上がった。


 寮は若干きしんでいるようだ。
 スプリングの効いたベッドの上で、Mは寝返りを打つ。
 「ギー…。」
 しばらくして、パラパラ、という雨音が聞こえ始めた。


 あー!これからミーティングかぁ(-_-)/// 
 部屋にストックしてある好物の<保存の効くお菓子・各種>を箱から出し、ベッドの上に適当に並べていると、Rが部屋にやってきた。
 掃除の当番決めの話し合いをするが、もっと下らない、あるいは真剣な話をしたいとMは思っている。
 Rは窓を開け、お酒と野菜を買ってきたところのUの名を呼んだ。
 顔に掛かる髪に眉をしかめながらUは手を振る。
 「U、ギリギリセーフだね。」
 「そうだね。そろそろ本降りじゃない?」
 外は嵐になりつつある。
 Rは窓際でタバコに火を点け、窓枠で灰を払う。
 「R、灰皿使おうよ。」
 「はーい。…私、灰皿忘れちゃうんだよね。私、タバコやめようかなぁ…。」
 Mは困り顔だ。


 雨が本降りになってきた。
 Rは窓を閉め、つまらなそうに携帯灰皿で火を消した。
 Mは何となく、Rのことが好きになった。
 バタバタッと階段を駆け上がる音がして、<お酒・各種>を持ったUがドアを開けた。
 「濡れたぁ。」雨粒を払うU。
 「飲みながら決めようよ。」
 「野菜も食べたいなぁ。」
 「U、野菜切ってこない?」
 「え、またぁ。」
 共同のキッチンは1階で、Mの部屋からは遠い。
 「野菜なんていいじゃん。」
 Rは野菜を切りたくなっていたが、面倒くさくなった。


 そしてミーティングが始まり、皆、いつの間にか、ザー…という雨の音を忘れて話し込む。
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