59:針キャップ
船に乗って移動している。
様々な自販機が備え付けられた、客室船のラウンジ。
カウンター付きの食堂があるが、使っていたのは昔の事らしい。
がらんとした厨房には機材の面影があり、ステンレスが鈍い光を放っている。
休憩スペースは自販機の前だ。
散らかっている。菓子パンの袋。プラスチック製のイスやテーブルが無造作に放置されている。
テーブルの上に、縫い針の刺さったペットボトルのキャップを見付けた。
いつの間にかA兄弟がそばにやってきていて、言う。
「何これ」 「針キャップ」
私は、「おんさ」に似ていると思ったが、黙っていた。
お守り袋に入れた折れ針を、何故か持っている。ミシン針だ。
直感めいた感覚で、先の飛んだミシン針を針キャップに近付けた。
針は、「縫い針キャップ」の周りを衛星のように回りそうだったが、すぐに落ちてしまった。
回りそうなのに、落ちてしまう。
「反発してるのかな」 「針が重いんじゃないの」
嫌なオブジェだ。
「もっと気の利いたお守りはないかな」
私達は磁石ではなく、ミニアチュールや、草の種を探すかも知れない。
(夢日記,はてな夢日記)