58:おみくじ
女子大に入学することになり、品の良い見知らぬお婆さんと一緒に入学式に行った。
初めて会う人なのに懐かしい。すぐに甘えた。この人の家に下宿する。
彼女はこの女子大の卒業生らしい。
隠し子というものがあるのなら、この人は隠しお婆さんなのではないか、と思った。
親戚の人のようでもある。
お婆さんは着物(御召か?)を着て、私は袴姿で、女子大に行くと、時計塔からたくさんの紙片を撒いている最中だった。
桜吹雪のように見えるが、紙吹雪だ。
手に取るとそれはおみくじだった。
これからのことではなく、昔の新聞記事と写真が載っていたけれど。
何か発見されたものを比べながら、腕組みしたり、小首を傾げたりしている記事だった。
彼女はその記事に見覚えがあるようだったが、微笑むだけで何もいわない。