9:白色レグホン

mimic-yk2006-06-17

 11月。人のまばらな図書館。
大きな窓から西日が射し込み、光と影は長く尾を引いている。
私は、書架にディスプレイされた、禁帯出の、大きな図録を眺めている。
載っている画や写真に前後の脈絡は無く、雑多な印象だ。
薔薇の細密画、陶磁器のような質感の回廊のモノクロ写真、鶏のデザイン画。


 鶏?なんだろう、これ。ポスターカラーで描いたのかな…?


 塗り分けられた色面は、版画のようにマットな質感だ。
紺色の背景に、白色レグホンらしい雄鶏が、光に照らされ、B4の画面のほぼ3分の2を占めている。
光の当たっている部分と、当たっていない部分の境界の羽毛が、細かく描き込まれ、金色に輝いて見える。


 一瞬、強い西日が図録を照らした。
鶏は二重の日差しを浴び、浮き出る様に輝いたが、すぐに背景の静寂の中に沈んでいった。
私は、何かを思い出しそうになったが、思い出せず、その場を去った。
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