62:交換日記
Oさんのノートを手に入れた。白い表紙のノート。Oさんは詩人だ。
ノートはOさんの観察記録で、交換日記のようになっていた。全部読もうとする。
―彼女が7人位居る!
様々な文字で飾られた白いノートは切ない感じがしたが、私は悪口や愚痴も見付けてしまった。
そしてOさんが不治の病に冒され長くは生きられないことを知った。
私はOさんを駅のホームに呼び出し、ベンチでしばし待っていた。
夕日の街。
―1000年も、2000年も、一瞬のうちに、過ぎる?
時間ギリギリに来た黒服のOさんは異界を連れてきた。やはり詩人なのだと思う。
「ノート、面白かったよ。嘘だ、死んでしまうなんて」
「…………ああ、嘘だよ!ノートは、全部、嘘さ!」
ノートを返すことにする。
Oさんはつまらなそうにノートをめくった。
「読んでないっ!」
私にも彼にも言いたいことがあったが、夕日が沈んだとたんに世界が終わってしまった。
(夢日記,はてな夢日記)