62:交換日記

mimic-yk2007-10-18

 Oさんのノートを手に入れた。白い表紙のノート。Oさんは詩人だ。
 ノートはOさんの観察記録で、交換日記のようになっていた。全部読もうとする。
 ―彼女が7人位居る!
 様々な文字で飾られた白いノートは切ない感じがしたが、私は悪口や愚痴も見付けてしまった。
 そしてOさんが不治の病に冒され長くは生きられないことを知った。
 私はOさんを駅のホームに呼び出し、ベンチでしばし待っていた。


 夕日の街。
 ―1000年も、2000年も、一瞬のうちに、過ぎる?
 時間ギリギリに来た黒服のOさんは異界を連れてきた。やはり詩人なのだと思う。
 「ノート、面白かったよ。嘘だ、死んでしまうなんて」
 「…………ああ、嘘だよ!ノートは、全部、嘘さ!」
 ノートを返すことにする。
 Oさんはつまらなそうにノートをめくった。
 「読んでないっ!」
 私にも彼にも言いたいことがあったが、夕日が沈んだとたんに世界が終わってしまった。
 (夢日記,はてな夢日記)