60:同じ家
暗い道を自転車に乗って、2通の同じ手紙を届けようとしている。同じ宛名だ。
曲がりくねった道を、のろのろと進む。ぼんやりとオレンジ色の自転車のライトは目の前を照らすには明るさが不足している。気休めにしかならない。暗い。
時々ある街灯や家の明かりの方が、道しるべになる。
しばらく行くと、同じ番地に同じ屋敷が2軒あり、家の中も外もオレンジ色の光に包まれていた。薄暗い。
「まぁ、いつも ご苦労様です」
この人は誰が来てもこのように人を迎えるに違いない、と思いながら、お婆さんに手紙を渡した。
同じ人が住んでいたら嫌だな、と思いながら次の家へ行くと、若干違った。
「まぁ、いつも ご苦労様です」
その微妙な違いを言葉で表しにくい。
それに、さっきの人をそれほど覚えているわけではない。
明るさが不足している。キツネが出そうだ。
その家の明かりの中へ私も入りたい、たそがれにも似たそのような明かりのもとでずっと暮らすのだったら、どうだろう? と私は思ったのだが。
(夢日記,はてな夢日記)