[赤]47:工作
雨の日、T兄妹の家へ、遊びに行った。
部屋には、布や紙やプラスチックで作った立体絵本が、何冊もあった。
彼らの工作なのだ。
パステルカラーや鮮やかな色で散らかった部屋は楽しげで、様々な色の傘が花開くのを、見るような思いがした。
兄はピンク、妹は黄色、私は水色が気になったが、それらを引き立てているのが赤い傘の存在なのだと思った。
部屋は、彼らの両親が蒸発して戻ってこないのと、私たちが年齢不詳なことを除けば、楽しげな空間である。
魔法というものがあって、カーテンの陰から彼らの両親が現れたら、彼らはもう、絵本を作ることはないのではないか、と私は思った。
絵本をパラパラめくっているうちに、未来都市や動物や草花がごちゃ混ぜになり、知らないうちに海や山へ行き、気がつくと部屋の照明のことを考えていた。
眩しくなったのだ。
外では雨が、いよいよ激しくなり始めている。
絵本のうちの1つの最後のページに、プラスチックの四角い大きなボタンを見付けた。
そこには、こんな風に書いてあった。
「今世紀最大のカミナリ」
ボタンを押したら、瞬時に近場にカミナリが落ちた。
普通のカミナリだったが、彼らがタダモノではないので、私は血の気が引いていった。
彼らはこう言った。
「偶然だよ。」 「天気が良ければ、そんなことはない。」
ボタンを何度も押すと、彼らの家から微妙に的の外れたカミナリが、何度も落ちた。
(夢日記,はてな夢日記)