43:毛虫
休日。
郭公(カッコウ)あるいは斑鳩(イカル)の鳴声が、少し離れたところから、そよ風に乗って、聞こえてくる。
私は木陰で、眠っている。
鳥は何かを思い付いたように、鳴いている。
私はその声を、自分に話し掛けられているように、聞いている。どう答えようか、考えている。呼ばれているのではないが、言葉になりそうな気がする。
光と影が、まぶたの上で、様々に移り変わる。
「・・・・、14歳、高校1年生!」
突然、小学生の男の子らしい怒鳴り声が聞こえて、とたんに静かになった。
男の子は、近くでうるさく鳴いていた鳥を、黙らせたかったようだ。
宿題の作文を書いていたらしい。小学生らしからぬ内容なのだ。
14歳は中学生だよ、と思いながら、私は、黄色い、濡れたハンカチの塊めいた物が首元に落ちてきたのを感じた。
ハンカチ?木の葉?アゲハチョウ?いや、これは、毛虫なんじゃないか?
飛び起きたいが体が動かず、目覚められない。
―毛虫! 毛虫! あぁ、起きられない!
鳥は遠くへ飛び去り、そよ風はやさしく、私は金縛りにあって、痺れを切らす。
(夢日記,はてな夢日記)