41:Mの部屋
台風で洪水が起きた。
飼っている猫の首だけを持って、私はMの部屋に空間移動(テレポーテーション)した。
後から猫の胴体がやってきて、首と合体した。
久し振りに会うM。旅行のツアーコンダクターが持っている旗が、Mの部屋に飾られている。
外は、雨が降っている。
雨が上がって、隣のビルの屋上で花火を打ち上げ始めた。
窓から火の粉が飛んでくる。
同じアパートに住んでいる詩人が、Mの部屋に、花火を見にやってきた。
私達は、ムダ話を始めた。
人は皆、様々な産地の薬を持っていて、それが個人の性質、個性に作用する、という話…。
薬の原料は流通が複雑で、どこから来ているか解らない。
だが、Mも、私も、詩人も、同じ薬を持っていた。Mの出身地、愛知県産の薬…。
どうりで話が合うはずだと、皆で納得するが、腑に落ちないところもある。
いつの間にか、花火は終わって、詩人が猫になっている。私が持ってきた猫だ。猫が詩人に化けていたのだ。
そして私は自分が詩人で、前からここに住んでいたのだと思い込む。