色の秘密/野村順一:(文春文庫+plus)

mimic-yk2006-07-19


□著者
 野村順一;1927〜2004,商学博士。(本書の単行本は、1994,7月 文春ネスコ刊)


□カラーチャート
 巻頭に、占いみたいなカラーチャートが付いている。
 藤色が、とてもロマンチックに見える。(著者の良心を感じるが気のせいか)
 4色位の緑について書かれた微妙な言葉の違いに悩む。(経験が物を言うかも)
 茶色では真面目さが、マルーン(栗色)ではバイタリティが強調されている。他はほぼイメージ通りか…。


□振動
  振動に対する人間の反応の図(低い振動〜高い振動が順に並べられている)がある。
 言葉だけ順番に並べると、 

 固体‐音‐電気‐熱‐光,色彩‐Ⅹ線‐エーテル的(ガンマ線)‐天体的(宇宙線)‐知能的‐精神的


この順番をみて振動を考える。
 Ⅹ線から上の振動は、人体では気付かないものか?
 熱には赤外線が含まれ、光には紫外線が含まれる。

<古代の賢者も現在の科学者も、存在するものは必ず振動している、という点で見解は一致している>
 音は低い振動で、それより高くなると電気や熱になる。

ニュートン;1642〜1727,が、「色彩は光そのものである」という言葉を残している>
 皮膚も色(光)を感じている。人に目隠しをして光を照射すると、明るい方へ体が傾斜する。(ライト・トーナス,シナジー効果

<音の何オクターブか上に光と色彩の振動がある。色彩の領域は、最も低い 
  赤(1秒間に458兆の振動)から
  紫(1秒間に789兆の振動) に及んでいる>

前頭葉(知能)の振動は10の30乗,視床下部(松果体や下垂体)を中心としたスピリット(精神)は、10の40乗か、10の50乗という振動を繰り返している>
 ちなみに低周波は10の5乗、Ⅹ線は10の18乗の振動。


 松果体=「第3の目」(third eye;心眼)中心の方 女子が重い
 下垂体=「心の座」(the seat of the mind)後ろの方 内分泌腺


<テレパシーも色と同じ振動である>
 意識の振動は、介在するすべての固体を通過して、テレパシーとして数百キロメートルを瞬間的に旅行することができるという。

…自分的には、物質、現象、エネルギーを、区別したいような気もする。


□本当ですか

<ビタミンには色がある。>
 食品の色が濃い分、ビタミンやミネラルの含有量が高まる。
 人間は日光に当たると、皮膚の脂肪でビタミンDをつくる。

<従来、睡眠中に見る夢のほとんどは白黒であった。たまに色彩のある夢を見る人は、異常であるとされていた>
 近年、TV等の影響により、カラーの夢を見る人は激増。異常とすることはできなくなった。…なぜ異常なのか?
 
<暖色の部屋では時間の経過が長く感じられる。反対に、寒色系は、実際の時間を短く感じさせる> 暖色では、短時間を長時間に、寒色では、長時間を短時間に感じる、ということ。
 
 暖色の振動数は低く、波長は長い。
 寒色の振動数は高く、波長は短い。
 
 赤は緊張、青は弛緩の要素がある。…熱に近い方は意識され、紫外線に近い方は無意識に近付く、ということか?
 好きな人とは暖色系の部屋で過ごし、単調な作業は寒色系が良いようだ。…どちらも飽きると居心地が悪くなるような気がするのだが…。

…私は、時の経つのは早く感じられる。楽しい時、悲しい時、何もしていない時も、早く過ぎる。短く感じているのか?
 分からない授業、つまらない集会、やりたくない仕事、早く着いた待ち合わせ、等は長く感じる。 義務や拘束、アイデア不足で長く感じる。
…時間ばかり気にしていても、しょうがない。

<白い部屋が美人をつくる>
 冷たい白は嫌われ、暖かい白は歓迎される。明るい色は部屋を広く、暗い色は部屋を狭く見せる。
 赤や青より白の方が良いのでは…。

<進出色(彩度の高い色)は飛び出して見え、後退色(彩度の低い色)は遠く見える>
 赤は屈折率が小さく、網膜より奥に結像する。青は屈折率が大きく、網膜の手前で結像する。水晶体は、赤では膨らみ、青では薄くなる。(色収差
 やはり赤と青で考えるのだな…。

<同じ重さの物を、白い包装紙と黒い包装紙で包んでみると、黒は白よりも、だいたい2倍の重さに感じる>
 明彩色は軽く、暗濁色は重く感じる。
 赤色光では重く、緑色光では軽く感じる。
 白熱電球では重く、蛍光灯では軽く感じる。

<夫婦の寝室に赤いランプシェードで白熱電球の照明にすると、70%は男子、30%は女子を出産、蛍光灯では、70%が女子、30%が男子出産、となる>
 ハツカネズミの実験。日光(自然光)では半々。

<緑を多用すると金持ちになる>
 緑は欲望充足の色、癒しの色なのだそうだ。濃すぎなければ安息の色となる。
 食物の場合、緑はph中性の色。

<ピンク色は若返りの色>
 老人は、ピンク色が好きなのだという。

<ベージュ色を選んで身に着ける学生は自身に満ちあふれ、成績も良く、他方、極端に冴えた色や、明るい色、また極端に暗い色を選ぶ学生は、自身の無い性格で、成績もふるわない>
 ペンシルベニア大学。ベージュ色…。灰色は暗め、ということか。


□色彩調和

<単色調和・有彩色1色+無彩色1色 ベージュ+白、ピンク+灰色、紫+黒、等>

<同系色調和・ベージュ色の壁面に、茶色のドア、等>

<類似色調和・ベージュ+クリーム色、焦茶と橙、水色とすみれ色、ピンクとラベンダー等>

<補色調和・赤と緑、黄と紫、紺と橙、黒と白、残像で見える生理的補色等、一方、または両方をパステル調にすると、ドギツクならない>


□色彩と音楽
 
  W.R.ワグナー
  V.カンディンスキー
  C.モネ
  C.A.ドビュッシー …が有名。

<高い色調は明白色、低い色調は暗黒色に傾斜する>
<フォルティシモになると、その色は接近し、強烈で重くなり、ピアニシモになると、色はかすんで灰色掛かって遠のいていく>
<フラットがついた曲は暖色系を、シャープのついた曲は寒色系を連想させる>
<ド=赤 ミ=黄金色 ソ=明るい空色>
 3原色?
 色はすべて音楽であるという。(クリストファ・ワード)

色と音の実験
<低音ではカラーカードの色は濃く見え、各色はさらに青色味か赤色味を帯びてくる>
<高音ではカラーカードの色は、どんな色も黄色味を帯び、淡く、薄くなる>
 黄色のカードは、さらに薄く見える。(1931カール・ジーツ)…不思議な実験。


□感想
 色を扱う上でのポイント的なことが書かれた本。

 残ったのは、<色彩振動ならびにメッセージ伝達体としての色彩観念>という言葉かなぁ…。
 
 物質の色ってあるじゃないですか。インクとか、染料とか、顔料とか、みんな違う色だもん。(自然)の色も。でも同じ色に見えたりもするんだなぁ…。
 アルカリ系が青っぽかったり、酸性系が赤や黄色っぽかったり、ていうこともあると思うんだけど…。成分が知りたいんだなぁ…。
 着色(染色)では、鮮やかな色が浅く見える事がある。その場合は色がまだ薄いか、単色すぎるのだと思う。何か混ぜれば深みがでるかも。
 ただし、人体に有害な着色は問題だ。
 
 好きな色って、一色にすることで自分の他の要素が失われるじゃないですか。そんなにはっきりした性格じゃないのかもしれないし、あくまでも目安なんだなぁ…。
 でもこの本は、コミュニケーションには大いに役立つだろう。
 色を言葉で連想することができるし、色(カラーカード)や配色で具体的なものを連想することもある。鮮やかな色で目が覚めたり、落ち込んだりすることもあるだろう。
 インテリア(環境)、器、料理に関しては、体験がものをいいそう。


□思うところ
 最近、自分は、白や黄色が気になる。
 白を(意識して)見ると、「盛ってある」と思う。(光が反射しているのだけど、盛られているのか?)
 純白の布には蛍光増白剤が使われている(洗剤にも入っている)らしい。
 黄色は、使ってみたいな、と思う。黄色の花を、面白く思う。

色の秘密 最新色彩学入門 (文春文庫PLUS)

色の秘密 最新色彩学入門 (文春文庫PLUS)